少し前になりますが、『SAYURI』を見ました。
これはかなり期待して見に行ったのですが、“松の木”“五重塔”のシルエットが盛んに出てくるのが印象的な、「マイ・フェア・レディ」と「ジェーン・エア」と
「風とともに去りぬ」をまぜこぜにしたような芸者ガールの話でした。
はっきりいって、映像、話の展開に面白いところは一つもなかったです。
もとより情念や情緒でしかない世界に無理やり筋をつけたのですから、当たり前ですけど―…。
格好つけてやたらと暗い画面も気になりました。
芸者の髪型は単なるアップスタイルですし、踊りは京劇風です。
それでも頭に残ったのは
「芸者は娼婦ではない、動く美、アーティストである」
「芸者とは芸をする者、不滅のエンターティナーである」
というような
言葉なのですが、それと「されど芸者は夜だけの妻である」「それでも悲惨な過去を思えば幸せである」というようなラストの陰影を仄めかした
ハッピーエンドとはあまり結びつかないのでありました。
これなら「男たちの大和」の方がもしかしてずっとましではないかと思ったほどです。
ようはインドならカーマストラ、日本は芸者、中国といったら纏足―…混浴の温泉は意味もなく出てくるし、東洋イコール未開の性イコール神秘イコール
男たちの楽園という図式の一端なのでしょうね。
けれども、あのスピルバーグにしてこれなのかと残念無念。
日本の新劇ももしかして本家からは「へんちくりん」
に見えてるのかもしれないなあ……。
『雪国』や『伊豆の踊り子』の情緒は微塵もなく、「美しき日本の私」の川端康成も、『陰影礼賛』の谷崎潤一郎も生きていなくてよかった、生きていたら
即死!!するにちがいない作品でした。
とはいえ『ラスト・サムライ』同様、これが世界的にヒットしないとはいえないのです。
