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 和田のひとりごと 

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「父が来た道」 2005/11/28

 これはわたしの敬愛する高村薫さんの原作ドラマです。
いわゆる政治家もので、後援会長の父親が大物政治家の収賄の罪を被って逮捕され、刑事の職を失った主人公はその大物政治家の運転手に雇われ、 復讐の機会をうかがっているという設定のもとに、事件が起きる―…という話です。

役者がよかった順にいうと以下のようになります。
1、大物政治家の神山繁
ちょっと田中角栄に似ていました
2、元刑事の運転手の阿部寛
高倉健がやりそうな役所、明るい感じがする顔なのでドラマの暗い情緒を救っていました、高村作品といえば切れ長の目の中井貴一でしたから、 時代が変わったのでしょう、あまりぴったりイメージが合わない方がいいような気がします。
3、秘書で大物政治家の隠し子の渡辺えり子
ほんとうはこの人が主人公でもいいような話です、この人はこういうドラマに映えます、なぜかというと阿部寛同様、暗さが緩和されるから です。

 けれども暗さが緩和された段階でもう高村作品が変質してしまっていることも事実です。
それとこれは高村作品でもそうなのでしょうが、ラストはどうかなと思います。
甘い救いのある終わり方……。
それから金で償いを終えようとするところ……。
何かねえー。
母親に金をやって自分は女と気楽にやりなおし―…というのは安直ですよ。田舎暮らしをしようという下りも突然メルヘンです。
高村さんの文章とか描写、感性は好きなのですが、こういうところがどうもしっくりこないのです。

 たいして好きではないけれど、こういうところに着地しない、非常に非情な横山秀夫作品の方がラストはしっくりくるんです。 ま、横山秀夫も『半落ち』になると、メルヘン入ってきて、泣きになるんですけどー…。

 長編というのはそうならざる得ないのかもしれませんね。
和田はこのところ、自分の資質と相反するものばかり見すぎている気がしてきました。
といって、これだ!!というものはなくて―……。

  

「女の一代記3 杉村春子」 2005/11/26

 黒革の手帳、女系家族以来米倉涼子のファンなのでやはり3も見てしまいました。
これが一番面白く時間の流れるのが短いと感じたのは、三人の男を先に逝かせた「悪女の一生」と名打ってつくられていたからと、 あと女優という仕事は映像にするとわかりやすく、華麗なせいでしょう。
越路の歌手とのちがいは演技というものは相手がたいてい居るし、孤独感も歌手ほどではなく、慣れれば、‘決定的’に神経がまいるというのは、 よほど適性のない人以外はいないように思います。
下手というのも歌手の下手よりは目立ちませんからね―……。
ですから米倉の演技もそういう具合にごまかされていました。

 一方杉村春子の方はといえば結核で夫を三人も死なせたのにぴん、しゃんと91歳までお元気だったわけですね。
今元気な人でいえば中村玉緒なんてそうなりそうです。

 最後に中島みゆきの主題歌は雄々しくバイタリティーにあふれていて、これにつられて見た感がありました。
それと女の一代記に共通しているのは「チャイルドレス」で、瀬戸内さんは捨て、後の二人は中絶しています。
このあたりがこの時代の限界で、次なる世代の一代記には「シングルマザー」なども要素になるのかと思いました。

 わたしにしてはずいぶんアカデミックでウェットなものを見てしまいました……。

  

「女の一代記2 越路吹雪」 2005/11/26

 昨夜があんまり―…でしたので、今夜は血抜きの少女の死体が出てくる、何でもありのサードウォッチを見てから、天海越路を見ました。

 話は盛り上がらないものでしたが、嫌味がなくそこそこに賢く清楚にきれいでスタイル抜群の天海越路はよかったです。歌も天海さんは宝塚なのでまあまあには 歌え格好はついていました。
ドレスいろいろもこれ見よがしではなくよかったですよ。
「どうだ!!」とならないのが、この人のよさでしょうね。

 思うにたいして期待していなかったし、大感動というわけではないけれど、三作のうちでこれがたぶん一番いい― 杉村春子は本日ですが、宮沢りえ同様ルックスが違いすぎます―のは天海越路だと思います。 天海と越路は強いがんばり屋の気性、華やかだが色気のないルックス、生真面目な人生観などがよく似ているのではないでしょうか。
越路が歌なら、天海はアンチエイジングのルックスと元気―まあ、どう見ても歌の方が上ですが―最後に越路本人の歌を聞いて、ああ、やっぱり違うなあ、 と感じはしました。
天海さんじゃきれいすぎて、優等生ですからね、あの人。

 これは離婚弁護士とか余命いくばくの役のバージョンなのでしょうが、わたしはやはり‘女王’がいいです、待望いたします。 いい人の天海さんより、悪い人の天海さんを見たいです。

 あと松下由樹の岩谷時子役は儲け役ですね。
昨日の寂聴の姉役の斉藤由貴と同じ太めながら対照的でした。

  

「女の一代記1 瀬戸内寂聴」 2005/11/25

 このシリーズは宮沢りえ、天海祐希、米倉涼子といった当代の実力派美人人気女優が競演というので楽しみに見はじめましたが、もう何十年も 前のドラマのつくりでがっかりでした。
 瀬戸内さんの作家としての原点というのは、要は「男の体は好きだが精神はよくわからない」、さらに「性的快楽も含めて自分が一番好きというのはもしかして よろしくないことではないだろうか」というものなので、このあたりをもっと凝縮してほしかったです。

 まあ、瀬戸内さんを演じるには宮沢りえは痩せすぎでバイタリティーがないし、色気もないし、最後の得度のシーンは妖しい美僧―ただし男―という雰囲気でした。
生きていたら太地喜和子あたりにやってもらいたかった役です。
 中村勘一郎は凡庸ゆえにろくでなしの人生を生きる男を好演、阿部寛はまあまあ美男時代小説作家の格好が決まっている程度で、「じゃあ、仕様がないな」というセリフ まわしは「トリック」でした。
ただこの人は不思議にマスオさん的所作が似合う人ですね。

 活字万能のこの時代を生きた作家たちの苦悩は大きいものであっただけに、―純文学か大衆小説か―、そのあたりをもっと描いてほしかったですね。
それから活字万能時代というのは、作家の生活は貧しく、編集者はいばりくさって、出版社は大もうけという雰囲気だったのですね。あらためて先人の作家たちに黙祷……です。

 こういうテーマはテレビ朝日の方が上手いかもしれません。

  

「蝋人形の館」 2005/11/17

典型的なアメリカホラーといわれている「蝋人形の館」を見ました。家の近くの映画館へ行ったところ客はわたしを含めて3人で、しかもそこそこの年齢でして、 「何でこんなもの見るのかなあ」なんて奇妙なことを言いあっていました。

 展開はノーマン・ベイツの「サイコ」、蝋人形版です。
地図にない田舎町で、ベイツがモーテルを支配しているのなら、こちらは無人の町中を支配しているという具合に、スケールが大きくなっていますし、被害者も女性に限らず、 蝋人形になり得るすべての男女ということになります。
別に動物の死体処理屋などが出てくるので、これは「サイコ」や「死霊のはらわた」、「羊たちの沈黙」のモデルになった実在の犯罪者エド・ゲインを想わせる大変な蘊蓄であり、 またとても不気味でいい演出でした。

 個人的にはアメリカのよくわからない田舎町で都市部では考えられない、とんでもない変事、凶事が起きる設定がとても好きです。 日本でもあってほしいのですが、横溝の「八墓村」なんてそうですよね、今はなかなかこの手の設定がむずかしくなっています。
その意味でもなおさらアメリカならではの映画でした。

 あとは若者たちの破天荒な恋愛模様と実際の犯罪とのバランスが絶妙で、これはこんなに気持の悪い話であるにもかかわらず、カップルで楽しめるものになっています。
思うにすべてはこのバランスにかかっていて、ストーリーが限られるものだとしたら、いかに今風のバランスをとるかが、成功、不成功のキーワードになっているのだと 思いました。 その意味ではこれはとても成功しています。
最後にそれとやはりこれはSFXを駆使した蝋人形と蝋の勝利です。
死体を蝋人形にしてしまうのもすごいですが、建物が全部蝋でできていて最後に犯人二人もろとも炎上するというのも圧巻でした。
監督がこの作品を思いついたきっかけは蝋だったのかもしれません。

 それからこれはふと思ったのですが、先週、今週とテレビドラマの「相棒」がサイコものでした。
犯人が悪魔信奉者で医療従事者がいつしか犯人にマインドコントロールされ、犯人が死んでも殺人を継承するというものですが、 杉下右京の最後の一言「いいかげんにしなさい」がいいです。
日本人の「サイコ」理解の真髄といった言葉で共感できました。
ここへ来てやっと、日本人にもわかるサイコものが映像になったと思いました。

  

「トリック新作スペシャル」 2005/11/13

 久々ということで見たのですが、時代の流れを感じ今一つ時を忘れて楽しむことができませんでした。
ギャグで成り立っているミステリーホラーなので、実はキャラがあまり明確ではなく、「会いたい」という感覚で主人公たちを見ることが できないのだとわかりました。
何で以前はあんなに面白かったのだろうと考えると不思議です。

 そういえば当たるはずもないと思われていた奇天烈なこの「トリック」がじりじりと人気を上げて、とうとう映画にもなり、さらにまた映画になるということと、 なるはずのない政治家小泉純一郎が総理にまでなり、お気楽な放言をしつつ支持され、選挙でめちゃ勝ちして現在に至る、という時代の流れとだぶって感じられました。
「トリック」が古びて感じられてきたということは、次なる政治と時代のウェーヴがあるわけですね。

それが何であるか、早く知りたいものです。

  

「ブラザーグリム」 2005/11/12

 北ヨーロッパの農民とか王とかお姫様、騎士までも好きなのでつられて見に行きました。
「チョコレート工場」も見たわけなので、この手の雰囲気が大好きなのだと思います。つまりは西洋の昔話ですね―。

 お話は「赤ずきん」と「ヘンデルとグレーテル」と「眠り姫」、「雪の女王」の舞台に「ロビンフッドの活躍」―……というようなところで、目新しさは何もないのですが、 練れた切り口はみごとでSFXによる映像表現も巧みです。いかにも現代の映画らしいものでした。
ただ「ロード・オブ・ザ・リング」のような監督の思い入れは感じられず、感動度70点のそこそこ優等生といった作品でした。次を見たいとは思わないのが残念です。

 グリム兄弟の人間性に深みがないせいかもしれません。

  

「大奥 華の乱」 2005/11/11

  このところ、安子役の内山理名の可愛さに惹かれて大奥を見ていました。
今回は安子が男の子を産んで、権勢を誇るが謙虚にわが子の幸福だけ祈っているものの、思いがけぬ罠に落ちる、という話です。

 ドラマでは史実の裏側を読んで、一人の世継ぎもいなかったという綱吉には、実は何人も男の子ができている。しかし、愛妾を綱吉に抱かせ身籠もらせて、 できたわが子を将軍の座につけたい野望の持ち主柳沢吉保に次々間接的に殺されていく、という成り行きのようです。が、有名なお犬の話は今のところ パスしているのは正解なものの、うーん、何か大奥らしくないんです。
つまらない。
藤原紀香、とうとう側室の子を毒殺してしまいますが、異常な御台所の心の揺れ、あまり凄みがない。これじゃ、精神異常以外の何ものでもありません。
お伝役の小池栄子、今回はじめてかわいいなと思いました。善良で愚かでいい人です。でもそれがどうしたの―なのです。
江波杏子だって、単にステレオタイプの姑です。もう少し、こっちこそ異常になってくれといいたい。
なーんか気の抜けたサイダーみたいな大奥。

 どうしてなんだろう。考えていてやっとわかりました。
これは名優北村一輝演じる柳沢吉保物語、昔大河でやっていた「元禄太平記」なのです。つまり男の大奥ですね。
北村たいして出ていないのに……やはり怪優なのです。
けれども、浅野ゆう子が大奥総取り締まりだった時は出ていてもそうは出しゃばった印象はなかったんですけど、やくどころが家定だったせいでしょう。今回は一応やり手の男ですからね。格好いい男なわけで―…。
これじゃ、側室の染子―実在した柳沢の愛妾で、公家の出です―に死ぬほど愛されてもなるほどとうなずけてしまいます。だって断然将軍よりいいんだから。
男の悪に魅力がありすぎる大奥はだめなのですよ―……。

来週は子をころされた内山理名も狂乱気味のようで、ほんとうに惨憺たるものとなりそうです。全く残念至極……。
そもそも綱吉の時代は総取締役は弱体で―たしか、えもんのすけ―、強かったのは桂昌院、吉保なんですね。

権力者が総取り締まり役でないと、面白くないのだと思いました。

  

今週の「CSIマイアミ」と「コールドケース」 2005/11/04

 「CSI」と一口にいっても、エリアごとに主人公が異なるシリーズもの三種で、ただの「CSI」はラスベガスエリアのことで変人チーフが昆虫学専門 ゆえに腐乱死体などが続出する人気一番手、「CSIマイアミ」は孤独な正義漢のホレイショ・ケインが大活躍。
そしてなぜか日本で放映されないのが 「CSIニューヨーク」ということになります。

 一時はホレイショのキャラに馴染めず、楽しめなかったマイアミですが、最近はこちらの方が好みです。
まあ、「Xファイル」のモルダーに近しい、シェークスピアなどを引用する変人文化人のチーフに飽きたのでしょうね。 好みというのは変わるものです。 ぐちゃぐちゃよくわからない時代をスカッと正義の剣で斬ってほしいのですよ。

 ということもあって今回のは最高でした。
アメリカンドリームを餌にハンガリーから若い女性を呼び寄せておいて、マッサージを装って売春させている組織の摘発なのですから―「CSI」のテクを駆使すれば、 現場で売春を証明できてしまうというのも。陰毛を含む毛髪、飛び散った精液の検出などなど、自由自在、隠す方がよほどむずかしい―なかなか普通の捜査では証拠に なりにくいだけに愉快でした。

 「コールドケース」は1999年、大晦日の殺人話で、アメリカ人がどれだけミレニアム―世紀末―を重く見て、のめりこんでいたか―たいていの人は何か 起きると思いこんで、食料など買い込んでいたとか―がよくよくわかりました。
なるほどこれが空前のホラーブームの土台だったのですね……。
少なからずなつかしくはなりました。

  

「リーグ・オブ・レジェンド」 2005/11/01

 久々のWOWOWです。
ネモ船長やトム・ソーヤ、ジキル博士とハイド氏、吸血美女ミナ、透明人間など古典文学の英雄、怪物たちが力を合わせて兵器製造の悪と闘う SFファンタジー。「ロード・オブ・ザ・リング」や「ヴァン・ヘルシング」の流れでしょう。
ショーン・コネリーのリーダー役がなかなか渋い格好よさで、トム役の青年がチャーミング。

 アクションシーンを見ていて思ったのは、これでは例えば「トロイ」みたいなもの―つまり英雄が死ぬ、現実的なアクション―はもうだめだろうなということでした。
だって、キアヌ・リーブスのホラー「コンスタンティン」ほどではないにしろ、映画のハードなアクションの前提はそこそこみんな不死身だということで、 だからこれでもかのアクションが楽しめるのですから。
ここで一応死ぬショーン・コネリーも、ラスト、愛するアフリカのまじない師の祈りで生き返る模様―その意味では映像はみーんな「北斗の拳」化しているのだと納得させられました。 あとジキルとハイドなのですが、「ヴァン・ヘルシング」の時同様、人間性の不思議、複雑さが洞察されるという原作から離れて、ハイドは不死身に限りなく近い肉弾、殺人兵器 なのでした……。

 面白く見ましたが、これでますます活字離れが進むと感じたのは事実です。
こういうものが小説で書かれることもきっと少なくなりますね。

 個人的には悪役ながら、「ドリアン・グレイ」が出てきたのが楽しかったです。
ただハイド同様パロデイではありましたが―……。