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 和田のひとりごと 

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悲しみのマーダーズケースブック
3 リチャード・ラミレス
2004/06/22

1985年夏から夜ごとに出没して、ロサンゼルスの幸福な中流家庭に押し入り、就寝中の男を射殺し、女を強姦、刺殺し、金品を奪うという、無差別殺人を二年間続けた、ヒスパニック系の連続殺人者である。

貧民街の生れだが父親や兄たちは犯罪を犯していない。
末っ子の彼は兄たちより頭がよく、快楽殺人を続けるいいわけを、『悪魔信奉』や文明批判を持ち出して正当化している。

当時流行したヘビメタール・ロックに心酔していたことも影響しているといわれるが、彼がここまで残虐な殺戮を続けた一番大きな原因は、十歳前後に覚えた麻薬であったろうと思われる。
シンナー、マリファナ、コカインの他に「エンジェル・ダスト」というドラッグも使っていて、これには暴力的衝動を誘発する成分が含まれているという。

青少年の薬物汚染、侮るなかれ。

  

クリムゾン・リバー2 2004/06/09

クリムゾン・リバー2を見ました。ジャン・レノ主演のフランス映画です。

1は雪なだれ危機一髪と氷壁の死体が印象的でした。
ざっと筋をご紹介すると、フランスの山奥の村でとんでもない状態の死体が発見。
その村には由緒正しい大学がありその大学を中心に全てが成り立っている。全て役職は世襲制で、教授同士が婚姻し優性学を実践している。
しかし近親結婚が続けば遺伝性の障害をもつ者が出現するのは必定。
よって新生児の段階で殺したり、関係ない村人の子供と入れ替える。
そして優性遺伝子を残す、反発を感じているある母親が双子の娘を使って雄大な復讐を行う、という訳ですがおどろおどろしい場面、一瞬『羊たちの沈黙』を彷彿とさせる場面もあり、しかしそれにも増してアクションが凄い。

2も引き続きこのノリで、今度は男子修道院が舞台の、やはりやはりのホラーアクション映画でした。
場面転換の早さと小粋な台詞、相棒との関係。
レダという今回の相棒の青年はなかなかいいです。
フランス映画にはめずらしく理屈っぽくもなく、『Xファイル』と『007』を強引に合体させた感のある、ホラーアクションエンターテイメント映画と言うのが正確でしょう。

最後に。
前作といい2といい、ヨーロッパの重厚な建物とか風景とかを暗めの画面でアピールしていて、IT機器を駆使してのCSI的な捜査とミスマッチで、いいような気もするものの、CSIファンのわたしには「何かねー…」と感じたりします。

  

サイコミステリーとしての『Lord of the Rig〜王の帰還〜』 2004/05/26

大分前になりますが、『ロード・オブ・ザ・リング〜王の帰還〜』を見ました。1、2はすでに見ています。

戦闘シーンがほぼ三時間半続くので体力が必要でした。肩が凝りました。
けれども人間に潜む悪について深く考えさせられる、やはり傑作といえると思います。

これはおそらく悪魔との闘いを主題にしている黙示録を物語化したもので、キリスト教的な善悪の対比、あるいは七つの大罪が犯行動機になる『セブン』に通じる、西洋人の人間観なのだと納得させられました。
悪と闘いの象徴である指輪を葬る使命が与えられているホビットは、善の象徴であり、それゆえ一時でもわが物にしようと、指輪を嵌めてしまったフロドは、ホビットの国に居られなり、旅立つというラストですし、反対に悪の象徴であるオークやその首領には徹頭徹尾裁きが下されて、きれいさっぱりと滅びゆくというわけです。

ここまでですと、うむうむ宗教モチーフのお話ね、しかもキリスト教かあ、日本人には遠いなあー。
…ということになってしまうのですが、ふと思うのは、悪イコール我欲と考えると、かなり卑近に感じられてきます。

執政官であり王ではないのに、王と同等の権利を主張し、権力にしがみつく老人―半ば欲ぼけしていてリア王そっくりに息子たちに辛く当たります―が出てきますが、この手の人なら、老醜という形でわたしたちの身のまわりにちらほら存在していそうです。
指輪獲得のためにゴラムの醜い姿に堕ちたホビットの例はいうに及ばずですし。(このゴラムについては1、2では二重人格を想わせるのですが、完結編となると完全に悪と化します)

つまり人間誰しも形は異なれど、それぞれ我欲という名のロード・オブ・ザ・リングを持って生きている、ということなのです。

このあたりに気がつくと、『ロード・オブ・ザ・リング』は単なる美形揃いの紙芝居ではなくなりますね。
またあるいは実写『デビルマン』のキャッチである、「果たして人間は守る価値がある存在なのか」という問いかけにも通じるものであると、実感させられます。

さてあなたのリングはどういう形のものてすか? そしてどうやったら葬り去ることができるのでしょうか?
かくいうわたしも自身のロード・オブ・ザ・リングを模索している真っ最中なのです。

  

「トロイ」先行上映 2004/05/17

『ロード・オブ・ザリング』にも増して戦闘シーンが多いというので迷ったのですが、結局先行上映で夜を明かしてしまいました。

まあ一言でいってしまうと、これは現実にあった話ということでもあり、『指輪物語』ファンタジー抜きver.です。
ファンタジー抜きなので『指輪物語』のように、魔法使いが出てきたり、死ぬ寸前で生き返ったりとか、死ぬことを旅に出るなどといって、ファンタジックに処理していないだけで、これでもか、これでもかの決闘―『北斗の拳』を想わせるほどです―、殺戮シーンの連続という点ではそっくりです。

また(指輪を葬るための)友愛がテーマではなく、主人公の英雄アキレスの多少シニックな死生観が主題になっています。

ただ気になるのは大国ギリシャイコールアメリカ、アポロやポセイドンを熱く信仰するトロイイコールイラクという、図式が見え隠れしている点です。

またギリシャの王は権力欲、征服欲の塊で、そこに仕える戦士アキレスは憤懣やるかたない気持ちを抱きつつ、それでも愛に一抹の救いを見いだし、闘い死んでいくというのも、何かちょっとやりきれない気がしました。
イラクで亡くなり続けている両国の戦士たちのことを考えたからです。

その意味では救いのない暗い映画です。
最後にブラット・ピットのアキレスが死ぬので、見ていた若い女性たちがしくしくと泣いていたのを、『へえ…』という気分で思わず場内をウォッチングしてしまいました。
こういう最後に慣れていないのでしょう。

しかし考えてみれば、かつては主人公が死ぬ映画、救いのない死がテーマになる映画、そんな作品が結構多かったように思います。
日本のものなら黒沢明の『七人の侍』、『わるい奴ほどよく眠る』などがそうですよね。

思うにわたしたちはある時からハッピーエンドの映画の方が楽になっていたのでしょう。
それがきわまってそろそろ揺り戻しがきているのかなとも思ったりしました。

ブラット・ピットのアキレスは逞しく美しく最高で、アカデミーの主演男優賞クラスでした。
一方の人気者オーランド・ブルームはいまいちでした。最後はアキレスを射殺す役なのに、です。
この人はたぶん演技が著しくまずいのだと思います。

それにしてもブラット・ピットが共演者にモーガン・フリーマン、アンソニー・ホプキンズなどの旬の男優を選ぶのはなぜかとずっと考えていたのですが、これは彼が自分の映画がメジャーではないことを知っていて、興行成績をにらみあわせての人選なのだと気がつきました。
今後も彼に時代の良心が反映されている、良作を期待したいものです。

  

元祖「CSI」 2004/05/02

エミー賞の各部門で受賞に輝いている元祖CSIがBS5に再登場しています。
制作者は一緒なのにCSIマイアミの方はいまいち面白くなかったので、元祖が戻ってきて感激しています。

ところでマイアミがいまいちだったのは、やはり主人公のキャラだと思うのです。
マイアミの主任は金髪、長身の甘くない渋めのハンサムな中年白人なのですが、あまり人間味が感じられない。
比べて元祖のグリッソムはラテン系のがっしりしたタイプで、遺伝性の難聴を患いかけているという悲劇性も手伝って、何ともいい味を出しているのです。
その彼にひきずられて他のメンバーも輝いて見える……。

人気の出る番組というのはいわくいいがたい魅力がかもしだされているのですね。
しかも意図的にではなくほとんど偶発的にです。
こういうのをテレビ映像上の奇跡というのだと思うのです。

もちろん数少ないわけですが、この手のものと出会えた時はほんとうにうれしい。
わくわくします。

わたしにとってそれらは『ツインピークス』、『Xファイル』、『アメリカンゴシック』―これはちとマイナーですかね―、『ER』、そしてこの『CSI』なのでありますが……。

  

映画「パッション」に思うこと 2004/04/29

メル・ギブソンが企画、監督、私財を投げ打って作ったという、イエス・キリストの最後の12日間を描いた映画が世界的に大ヒットしているそうです。
拷問や処刑シーンが多く残酷すぎるとして、ショックで死んだ神父や婦人がいるというふれこみです。

日本のテレビ限定ということでメルがインタビューに答えていました。
映画会社は企画に乗らず空前の大ヒットに悔しがっているとか、アカデミー向きではない、賞はとれずともよいなどなど。
メル自身最近は常に身の危険を感じているが、日本は宗教に淡泊なのでテレビにも出演できるとか…。

一言でいってこのおおげさな宣伝を聞いただけでみる気がしなくなりました。
これはもう世界一の巨大キリスト教国アメリカの宣伝ではありませんか。
キリストの死と復活を描くということは、イスラム世界と闘うにはこれしかない、という切り札を出してきたという感じです。
恨まず、憎まず、恐れず粛々と処刑される神の使徒キリストは自爆テロの勇者よりも尊い、精神的に高みにいるということを強烈にアピールしたいのですね。
おいらキリスト教だってここまでやれるんだぞい、ばーか!―みたいな。
ブッシュが見たがっているというのはともかく、ローマ法王までほめたというのはいただけません。
たぶん法王は文明国の多いキリスト教国において、イエスの真価が忘れられつつあることを憂い、キリスト教の宣伝あるいは布教活動の一環と見なす見なしたのでしょうが、喜ぶのはアメリカだけなのではないでしょうか。
それと映画にかかるお金ほんとにメルだけのお財布なの?
政治的な含みがある以上、映画会社をしのぐ強力なスポンサーがいたんじゃないかと疑いたくなります。

極端なことをいってしまうと、この映画は今日本で「戦艦大和」とか「神風特攻隊」の映画をつくるのと同じで、ナンセンスです。
しかしもっとナンセンスなのは無邪気にこの映画の提灯持ちをする日本のマスコミです。
何とかしてくれ、とわたしは今思っています。
ギャグですが、もうこの際マホメットの映画をつくるしかないのか……。

最後にわたしは「リーサルウェポン」のメル・ギブソンのファンだったのです。


はじめて「リーサルウェポン」に出てきたメルは今にも死にそうな薄幸さで、役どころだけではなく、この役者は長くないな、なんて思わせてステキでした。
ところが「リーサル〜」も2、3と続くうちに何かねえ、死にそうないなあ…と思い魅力が激減しつつ、今日に至っています。
「パッション」とは全然関係ないのですが、こういう時代は軽薄な知性が尊いのかもしれません。
それで最近ヒュー・グラントが気になるのかも。 ブラット・ピットも「トロイ」に出るようでは…―。

「トロイ」ならまだわたしは実写「デビルマン」の方が格上なんじゃないかと思っているのです。
「デビルマン」には『人間は命を賭けて守るに足りるものか否か』の命題がありますからね(もっともこれはイギリス映画「28日後」のテーマでもあります)。

張り合って いけいけどんどんではなく(残念ながらあのジェットコースターのように面白い『24』もその仲間です)、勝ち組であることにおごらず、自己存在に疑問を投げかける映画が今世界に必要のように思います。

  

ブリジット・ジョーンズの日記 2004/04/25

『ブリジット・ジョーンズの日記』を見ました。
ジョーンズ役は『ゴールドマウンテン』の演技で助演女優賞をとった、巨乳で金髪、やや太めの何ともチャーミングな女優さんでした。

ところでこの『ブリジット・ジョーンズ』ですが、英国版『負け犬恋愛結婚サクセス物語』なのです。
酒井順子さんの『負け犬の遠吠え』にも引用されていて、キャリアのある三十代の独身女性が何とか理想の相手を探してゴールインしようという話なのですが、酒井さんの『負け犬−』とは「ちょい違うな」という印象でした。

またあるいは酒井さんの『負け犬−』に対して、わたしがちょい違うのではないかと思っているのかもしれません。

酒井さんは『負け犬』を三十代、独身、子なし−という具合に定義していますが、あまりに自虐的な分析がすぎているような気がします。
それでいて『負け犬』であることへの絶望は伝わってこず、ふわふわと平和な日本が永遠に続くと信じて日々を流して生きている、ひどくお気楽でやや自堕落な印象を受けました。
あるいはブリジットのように、もっと懸命に『負け犬』である自分に賭けて生きてほしいものだと思ったりしたのです。
外国の『負け犬』の方が強くたくましく潔くそれゆえに美しい。

『負け犬』、『勝ち犬』―三十代既婚女性―の区別があるのではなく、また日本人、外国人の別があるのではなく、ようは人としてどれだけ必死に生きて死ぬことができるか、ということだけが重要なんですけどれどね……。    

  

悲しみのマーダーズケースブック
2 アイリーン・ウォルス
2004/04/18

アイリーン・ウォルスはアメリカ初の女性連続殺人者である。
犯行は八十代末から九十年代にかけて行われている。十代の頃から娼婦だったウォルスはやがて三十代に入って思うように稼げなくなり、ヒッチハイクで拾ってもらった相手を射殺、金品を奪い続けたのである。
その数七人。
死刑の判決が下るほどの残虐非道ぶりで、改悛の余地なしと断定された。

そんな彼女の生い立ちを見てみると…

祖父母: 祖父は厳格ではあったが、祖父母とも長きに渡るアルコール依存症。
ウォルスはこの祖父母を両親だと信じていた。

母:そんな両親に反抗して十四歳で結婚。のちに夫との結婚生活の清算を兼ねて子どもを捨てる

父:嫉妬と暴力の塊

兄:妹のウォルスと近親相姦

ウォルス本人:十一歳より不純異性交遊。金品もねだる。
売春で稼いだ金はほとんどアルコールとドラッグに消えていた。
そこそこ富豪との結婚歴もあるが、四週間で愛想をつかされる。以後レズとなる。

という具合に見てくると、日本のどこにでもありそうな、かなりよくある話になるので、やはり恐い。

  

ダークネス 2004/04/02

他のビデオでの予告編が面白そうだったので借りてしまいましたが、単純な筋の宗教マニアホラーでした。

『ピアノレッスン』に出ていた、名子役がまぶしい少女に成長していました。
これが唯一の救いです。

メッセージしようとする闇の恐怖はわかるのですが、オチの悪魔崇拝がちゃちで出来損ないのエクソシストという感じで、テーマの弱さが目立ちました。
もっと悪魔崇拝に深みを持たせてくれないと納得できないラストシーンでもありました。
スペインを舞台にする必然性もほとんどないのではないかと思います。

親が自分の宗教のために子どもを生け贄にするという、幼児虐待に通じるテーマを現代に通じるものにするには、映像を恐怖一点ばりにするのではだめです。
単に幼児虐待を扱えば現代に通じるというものではありません。

その点『エクソシスト』や『オーメン』はホラーを通して、鮮やかな文明批評をなし得ているわけです。
ただしこの映画の映像は凝りに凝っていてとても繊細できれいでした。